高齢者は、筋力の衰えや唾液量の減少により、飲み込む力が次第に弱くなっていきます。
たった3ヶ月の入院であっても、目に見える形で体力の低下が確認できる場合があります。
「皆と同じ食事で大丈夫」「本人も大丈夫と言っているから」と思うかもしれません。
しかし、本人が自覚していない、もしくは自覚したくない場合も多く、「いつも通り」「みんなと同じ」が通用しないことが多々あります。
しっかりと飲み込みができているかを確認することが必要です。
もしむせる回数が増えたと感じるなら、食事の形態が合っていない可能性があります。
入院していた場合、どのような食事をしていたのか確認が取れますが、日常生活で少しずつ衰えてきた場合、変化を把握するのは難しいかもしれません。
食事の形態が合わないかもしれないサインとは?
以下のような兆候に注意してみてください。
・食べにくそうにしている
・むせることが多い
・繊維質の食材が少なくなった
・硬いものがメニューからなくなった
・好物だったのに食べなくなったものがある
これらの項目以外にも確認できるポイントはありますが、まずはこれらに注目してみてください。
嚥下障害の具体的なリスクとして
嚥下(えんげ)障害が進行すると、食べ物や飲み物が誤って気管に入る誤嚥「ごえん」が起こりやすくなります。これにより、窒息や誤嚥性肺炎などのリスクが高まる可能性があります。
早い段階で本人・家族で相談。
介護や看護サービスを利用しているなら、介護士や医療職を交えた話し合いを行うと良いでしょう。
介護サービスを活用しているなら、介護支援専門員「ケアマネージャー」が入っているはずですから、まずはケアマネに相談してみると良いでしょう。
介護食の具体的な形態や調整方法は?
むせ込みが多いと感じたら、食事形態を調整することが有効ですが、実際にはどの様にするべきでしょうか?
一口サイズに大きさを変える
食材を細かく刻む『刻み食』
さらに柔らかくする『ミキサー食』
飲み物にトロミ剤を加えて飲み込みやすくする方法があります。
このうち、まず皆様が行う一般的な方法は
これらの調整は専門家と相談しながら進めると良いでしょう。
介護職や専門家との連携しよう
食事の形態を見直す際は、医師や栄養士、介護職などの専門家と相談することが重要です。
介護士が食事に介入している場合、普段から食事の状況を専門的に観察しており、どのような食材が食べにくいかを把握していることが多いでしょう。
むせ込みの頻度やその危険性について介護士に確認をしてみましょう。
介護士や医療職が介入している場合、介護士は医療職に助言を求めていることがあります。
また、ケアマネージャーとも連携を取っているため、すでに問題が報告されているケースもあります。
どの職種でもよいので、まずは確認を取ってみると良いでしょう。
ご家族が最初に異変に気づくことも少なくありません。
その際は、各職種に「このようなことがあった」と一言伝えることで、より専門的な視点での観察や対応が始まります。
日常でできる嚥下トレーニングとは?
日常生活の中で取り入れられる嚥下トレーニングは、飲み込む力を維持するために有効です。
介護士はリハビリとして直接的な介入はできませんが、日常的な会話や口腔ケアがリハビリの一環として役立つことがあります。
口腔ケアは非常に重要で、口の中を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクを減らすことが期待できます。
もちろん、リハビリの専門職による本格的なリハビリが必要な場合もありますが、まずは日常的に会話の回数を増やすなど、できることから始めてみるのも良いでしょう。
心理的な配慮も必要
高齢者は、自分の体の変化に気づいていても、それを認めたくないという気持ちが強いことがあります。そのため、無理に指摘するのではなく、自然な形でサポートすることが大切です。
「若くないんだから」「今までとは違うんだから」「食事は刻まなければならない」「とろみをつけなければならない」といった頭ごなしの発言は、たとえ本人が理解していても、強い拒否感を引き起こすことがあります。
「まだ長く生きてほしい」「体調を心配している」といった気持ちや、むせながら食べている姿を見て心配していることを、優しく伝えることが大切です。
体を気遣っているという思いを前面に出すことで、よりスムーズにサポートできるでしょう。
また、食事の形態を変更する際も、本人が安心できるよう、少しずつ段階を踏んで変えていくことを心がけましょう。
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